糖尿病注射製剤
糖尿病注射製剤①
我が国で使用可能な糖尿病の治療に使われる注射製剤はインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の2種類です。インスリン製剤は超速攻型インスリン、速攻型インスリン、中間型インスリン、持効型溶解インスリン、混合型インスリンに大別されます。また、インスリン製剤の剤形別にプレフィルド/キット製剤、カートリッジ製剤、バイアル製剤があります。GLP-1製剤は1日1~2回のプレフィルド製剤と週1回投与のキット製剤があります。
糖尿病注射製剤②
インスリン療法はあらゆる種類、病気の糖尿病患者に対し適応します。1型糖尿病患者はインスリン療法の絶対的適応です。2型糖尿病患者は食事療法、運動療法、経口血糖降下薬の使用と進んでいきますが、経時的に膵β細胞の機能が低下しインスリン分泌が低下する事があります。その場合、インスリン療法を始めることとなります。内服薬だけで血糖が下がらなくなればインスリン療法に切り替えていきます。
糖尿病注射製剤③
インスリンを絶対に使用しなければならない場合があります。
①インスリン依存状態(インスリンでなければ血糖が下がらない)
②高血糖による昏睡状態
③重度の肝障害、腎障害を合併しているとき
④重症感染症、外傷、中等度以上の外科手術(全身麻酔施行令)
⑤糖尿病合併妊娠(妊娠糖尿病で食事、運動療法では良好な血糖コントロールが得られない場合も)
⑥静脈栄養時の血糖コントロール
相対的にインスリンの適応となる場合
①著明な高血糖の場合
②経口薬のみでは良好な血糖コントロールが得られない場合
③やせ型で栄養状態が低下している場合
④ステロイド治療時に高血糖を認める場合
⑤糖毒性を積極的に解除する場合
等が挙げられます。
糖尿病注射製剤④
注射製剤(おもにインスリン製剤ですが)は患者さん自身が注射器に針を着け、自分の腹部もしくは大腿部に針を刺し、製剤を注入しなければなりません。注射製剤を使用する際、患者にとってはかなりの不安があると思います。使用する針はかなり細いので痛みはほとんどないのですが、それでも注射は痛いからいやだと言われる患者は少なくありません。注射製剤を始める前に患者と医療者の間で十分な話し合いが必要かと思います。注射製剤を始める前には患者に十分な指導が行われますが、外来での指導ではやや不十分かと考えます。注射製剤を開始するときは教育入院がベターでしょう。
糖尿病注射製剤⑤
インスリン製剤がなかった頃1型糖尿病はケトアシドーシスにより致死的疾患でした。1922年3月にインスリンをヒト1型糖尿病患者に投与したことが世界で初めて報告され、その後インスリン時代の幕開けとなりました。以来インスリン製剤開発、治療技術の進歩は目覚ましくその治療選択肢は広がっています。
インスリン製剤の種類はその作用時間と薬力学によって超速効型インスリン、速効型インスリン、中間型インスリン、持効型溶解インスリン、混合型インスリンに大別されます。また、インスリン製剤の剤形別にも分けられます。