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ホーム > 天野記念クリニック > 糖尿病の基礎知識 > 併用療法

併用療法

併用療法①

糖尿病の薬物使用にあたっては、患者の病態や合併症の有無とともに薬剤の作用特性を考慮し単剤を少量から開始するのが原則です。3か月間投与を継続しても目標に達しない場合には薬物療法の強化を考慮します。その場合、単剤の増量よりも作用機序の異なる多剤を併用したほうが副作用を避けながらより強い血糖降下作用が期待できます。このようなわけですから、糖尿病の患者様は内服する薬の種類が増えるのです。他にも、高血圧、高脂血症等がある場合、これらの薬も服用しなければなりません。

併用療法②

作用機序の異なる薬剤の併用は相加的な効果を生みますが、組み合わせによってはそれ以上の相乗的な効果を期待できる場合があります。ビグアナイド薬のメトホルミンにはGLP-1分泌促進作用の増強が期待できます。DPP-4阻害薬との併用療法はGLP-1作用の増強が期待できます。実際、健常人を対象とした検討では、メトホルミンとDPP-4阻害薬を併用するとそれぞれの単独投与に比して食事負荷に対する活性型GLP-1濃度が相乗的に上昇することが示されています。また、α-グリコシダーゼ阻害薬投与により省庁のGIPの分泌を抑えGLP-1の分泌上昇が起きます。このためα-グリコシダーゼ阻害薬にDPP-4阻害薬を併用するとGIP-1/GIP比の上昇とそれを増強する効果が期待できます。

併用療法③

SU薬は膵β細胞のSU受容体に結合しインスリン分泌を促進させます。一方、DPP-4阻害薬は血中活性型のインクレチンの分解を抑制する薬剤ですが、この活性型インクレチンは膵β細胞のG蛋白共益受容体に結合することでインスリン分泌を促進します。したがってこの両者の併用はインスリン分泌をきわめて増殖させる可能性があります。SU薬で治療中の患者にDPP-4阻害薬を追加投与する場合、SU薬の原料が望ましいとされています。特に高齢者、軽度腎機能低下者、或いは両者が併存する場合、SU薬の減量が必須とされます。